ドニャンは、1805年にフランスのリヨンでレース製造を始めたドニャン家の流れを汲むブランドです。

 1820年頃にシルクのチュール「イリュジオン」を考案したドニャンは、1860年には「リヨン・レース」という高級レースの製造方法を考案しました。「リヨン・レース」は、ジャカード織りの技術を使ってチュールを機械織りし、その後に手縫いの刺繍でこれを仕上げたもの、つまり、機械化と手工芸を組み合わせた製品だったのです。大柄なモチーフを織り込んだ華やかな「リヨン・レース」は、19世紀後半のフランスの第二帝政期、ヨーロッパ上流階級の婦人が挙って身につけました。

 

20世紀に入ると、ドニャンが発明した伸縮性のあるチュールを使ったボディスーツ「スキャンダル」が1930年代に大流行しました。また、1960年代には、ドニャンはポリエステル系合成繊維「テルガル」を素材とした「洗濯機で洗えるレースのテーブルクロス」を考案しています。ドニャンはつねに、レースという洗練を新しい時代の社会や技術と結びつけてきたのです。

 

わたしたちドニャンの紋章は、フランスでレース製造が営まれたリヨンとカレーという2つの都市の紋章を組み合わせています。美と洗練のシンボルとしてレースが求められた時代は終わりましたが、現代においては、バッグというアクセサリーが、かつてのレースがそうだったように、人々の心を誘う魔法のオブジェとなりました。

 

 

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