日本とのつながり
ドニャンには、ドニャン家がレースを製造していた時代に入手した明治時代の日本の「型紙」を集めた大型綴じ本3巻が保管されています。
この「型紙」は、主に着物の型染めに使用されたステンシルの一種ですが、桑の葉を原料として作った紙を柿渋に浸して防水性を与え、これに専門の職人が手作業で様々な型を切り込んで作られたものです。染色に際しては、もち米をペースト状にした防染糊を用いました。
これらの「型紙」は、息をのむほどきめ細やかな線を使った様々なモチーフの宝庫です。リヨン・レースに使う華やかなモチーフを求めていた19世紀のドニャン家が、日本の型紙に出会い、これを大切に保管していたことも納得がいきます。
ドニャンは、高名な美術総合学校であるエコール・ド・コンデの文化財修復科マスターコースの学生ルイーズ・クービさんにこの型紙集の一つを貸与し、クービさんによる修復が実現しました。その修復作業の成果は、2019年5月16日にエコール・ド・コンデを会場として開かれたプレゼンテーションで披露されました。